コラム-column-

2019/09/13

薄明の中に校錯する生命感

微笑みかけてくる子供の頭に、巨大な角が生えている。

遠い未来まで生命の進化が続いて行けば、

こんな人体も現れてくるのだろうか。

あたかも現代のバロックというものを創造させるようなドラマチックなどよめきがある。

時によってそれは胎内のミクロ的世界であり、

時に寄って天空に広がる宇宙的世界であったりする。

そして、凝縮された密閉の世界も、限りなく奥深く伸びる世界も、

いずれを見ても我々は言い知れぬ不安をそこに感じずにはいられない。

(図録『ジェラール・ディマシオの世界』より)